行動定義だけでは組織は変わらない|私が気づいた「構造」という視点

「できる状態」を定義した。

行動基準も明確にした。

なのに、組織はまた元に戻っていった——。

そう感じたことはないですか?

実は、問題は「定義の精度」ではありませんでした。

定義したあとに、繰り返し機能する”構造”がなかったことが原因でした。

この記事では、私が100名規模の組織でKPIマネジメント研修を実施した経験をもとに、「仕組みで組織を安定させる」アプローチを紹介します。

目次

研修後、組織は変わった。でも、数ヶ月後に戻っていった

以前の記事で、私は「できる状態」を定義することの重要性を書きました。

抽象目標ではなく、

  • どんな状況で
  • どう判断し
  • どんな行動が取れるか

ここまで落とすこと。

これ自体は間違っていませんでした。

私は社内でKPIマネジメント研修を実施し、KGI・KSF・成果KPI・プロセスKPIの意味とつなぎ方を教育しました。

研修直後は確かに変化がありました。

月次会議で予算対実績を報告する際に、仮説を持った発言が増えた。

ですが、数ヶ月するとばらつきが出てきました

  • 未達時に理由と挽回策をきちんと述べる人
  • 未達理由は述べるが、挽回策を述べない人
  • 未達理由も挽回策も述べない人

月次会議では5つの部門が順にレビューするため、一件一件にかけられる時間は限られています。

報告が多い中で、私自身が気づかずスルーしてしまうこともありました。

毎回「未達の理由は何ですか?」と聞く必要がある。

毎月毎月、同じことを繰り返す。

正直に言えば、イラつくこともありました。

そして、イラついている自分に自己嫌悪を感じていました

ここで私は気づきました。「定義」だけでは足りない。繰り返し機能する仕組みが必要だ、と。

足りなかったのは「構造」だった

「できる状態」を定義することは大事です。

ですが、それは”静的”な設計です。

組織は動き続けます。

放っておけば、人は元の思考に戻ります。

それは意志が弱いからではなく、日常の圧力が強いからです。

月次会議で報告事項が多ければ、ついコメントを省いてしまう。

それは人として自然な反応です。

だから必要なのは、

定義したことを、繰り返し確認できる仕組み

でした。

私がやったこと——「見える化」と「問いの固定」

そこで、2回目のKPIマネジメント研修を実施しました。

コンテンツの一部として、成果KPIとプロセスKPIを一覧表にして色分けすることがあります。

KPI達成度合いの可視化
  • 80%以上達成 → 青
  • 80%未満50%以上 → 黄色
  • 50%未満 → 赤

何が未達かが一目で分かるようにしました。

これによって、会議の構造が変わりました。

黄色と赤の項目は、経営者である私が必ず未達理由と挽回策を聞く。

それが暗黙のルールになりました。

メンバーは会議に臨む前に、自分のKPIの色を確認します。

黄色や赤があれば、プロセスKPIの観点から未達理由を考え、翌月の行動量をどう増やすかを準備してから会議に出るようになっています。

さらに、会議の構造も変えました。

経営者への月次報告だけでなく、管理職と部下の間で隔週の1on1を導入しました。

経営者に報告する前に、管理職と担当者が先に振り返る構造にしたのです。

研修で教えたことを放置するのではなく、継続する仕組みに変えた。

これが本質的な変化でした。

変わったのは「意識」ではなく「習慣」だった

私はかつて、意識が変われば行動が変わると思っていました。

でも違いました。

行動を繰り返す構造があるから、意識が変わる。

順番が逆だったのです。

色分けされた表があるから、準備する。隔週の1on1があるから、振り返る。会議で必ず聞かれるから、考えてくる。

問いを固定する。

場面を固定する。

評価軸を固定する。

この”固定”が、組織を少しずつ変えていきました。

今では、報告資料を作る際に何に対してコメントを準備すればいいか、どのようなコメントをすればいいか、メンバーが自分で理解するようになってきています。

マネジメントの型が、組織に浸透しつつあります。

「自走」とは、自由に任せることではない

こうした仕組みの積み重ねが、私が目指している「自走する組織」に近づく道だと感じています。

自走とは、自由に任せることではありません。

基準が共有され、確認の仕組みがあり、繰り返し回る状態。

構造があるから、任せられる。

構造がない自由は、不安を生みます。

メンバーにとっても、マネジャーにとっても。

なお、できていないメンバーへのフォローも仕組み化しています。

研修内製化を担当した社員が個別にOJTを行い、対象者が多い場合は生成AIで教育資料を作り直して再教育します。

一度定義して終わりではなく、循環させる設計にしています。

今も完成していない。ただ、一つだけ確信がある

正直に言えば、今も試行錯誤の途中です。

ですが一つだけ確信があります。

抽象目標だけでは変わらない。

定義だけでも変わらない。

「構造」まで設計して、初めて組織は安定する。

これは、自社でやってみて初めて分かったことです。

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この記事の前提となる「できる状態」の定義方法についてはこちら:

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